ヨーガ・スートラ4-14

[客観と主観の二元性]

【4-14】 客観的事象の自己同一性は、転変の単一性に基づく。

The uniqueness of change comprises the essence of everything.||14||

 

<解説>サーンキャ・ヨーガ思想は実在論的であって、客観的事象(vastu)が主観の観念とは独立に存在することを主張する。それでは客観的事象の必要条件である自己同一性(tattva)はどうして成り立つかといえば、三つの徳(グナ)が相寄って単一な転変形態を構成するからだというのである。その仕方は、三つの徳の中で一つの徳が主となり、他の二つが従となる関係で、三者一体の転変をするのである。このことは外界の事物についてだけでなく、心理器官についてもいえる。サーンキャ・ヨーガ哲学では、内外両面における客観的事象が実在論的に考えられている。4-14~21の経文が対手としているのは、仏教唯識派の観念論の「唯識無境」の説であるといわれる。