ヨーガ・スートラ4-10

【4-10】 また、残存印象が無始であるのは、生への愛着がいつも存在しているからである。

The continuity arising from wish and reality has no beginning, for the will to live is eternal.||10||

 

<解説>潜在意識のなかに蔵されている残存印象の始まりを探ねてどこまでさかのぼっても尽きることがないのは、生類に生への愛着(asis)が、絶えることなく存在していたからである。

この思想も仏教とよく似ている。仏教でも輪廻、業の原動力は渇愛(tanha=タンハー)である。また、念は無間断に相続して無始以来絶えたことがないとする思想は、大乗起信論などにも、説かれている。念に断絶が出て、念の初相つまり念の起こる姿が把握されるのは、心の本体(心性)を覚り、無念の心境を得た時であると起信論は説いている(4-33註参照)。