ヨーガ・スートラ3-49

[離憂という名の霊能]

【3-49】 覚と真我を弁別する英智に徹したならば、すべての世界の支配者たる力と、一切の事象を知る力とが生ずる。

Mastery of feelings and omniscience can only be attained through knowledge of the difference between the physical world and the true self. ||49||

 

<解説>これは離憂(visoka=ヴィショーカ)という名の霊能(siddhi=シッディ)であって、霊能中の最高である。上来の種々の綜制、ことに自己目的的な真我そのものへの綜制(3-35参照)などの結果、こころの内奥の静澄(1-48)な状態が生じ、その状態において、覚のもつ光明性も終に真我ではないことを鮮明に直観する。この直観に不動に止まるならば、やがて世界の支配者たる力、万象の在り方を徹見する力がヨーギーに現われてくる。