ヨーガ・スートラ3-44

【3-44】 五つの物質元素の粗い面、その本質的な面、その原因たる微妙な五唯の面、それに内在する三徳の面、それの宇宙的合目的性の面などに順次に綜制をほどこすならば五つの物質元素を克服することができる。

Meditating on the outer manifestations, true nature, underlying principle, temporal sequence, and purpose of something engenders mastery (java) of the physical elements (bhutas). ||44||

 

<解説>①五つの物質元素(地水火風空)は通例五大(mahabhuta)とよばれている。その五大の粗い面(sthula)といえば、その元素のもつ感覚的な性質、例えば、土元素のもつ色や音や匂いなどのことである。本質的な面(svarupa)とは、一つの元素全体に普遍である性質、例えば地は堅く、火は熱いなどの性質をいう。

 

<解説>②五大の質料因となる五つの唯(1-19註参照)はわれわれの感官では知ることができないから微細(suksma)と名づけられる。三徳(グナ)すなわち三つのエネルギーは、五大のすべてに内在(anvaya)(3-9註参照)し、それらの根本的傾向を決定するものである。宇宙的合目的性(arthavattva)というのは、五大のみでなくすべての存在はただ真我の経験と解脱のためにだけあるという、形而上学的合目的性をいう。

<解説>③こういう面に次々と綜制の強い脚光をあびせて、それらを鮮明に直観(現観)するならば、五大はその人の思いのままになる、というわけである。