ヨーガ・スートラ3-32

【3-32】 頭の中の光明に綜制を向けるならば、神霊たちを見ることができる。

Meditation on the light inside the head engenders contact with the masters (siddhas). ||32||

 

<解説>①頭の中の光明(murdha-jyotis)というのは、頭の頂上で、頭蓋骨の接合するところ、インドで梵の裂目(brahma-randhra)とよばれている所にある光明のことである。しかし、この光明の源は心臓であって、心臓から発した光明が、背中の中心を貫いているスシュムナー管を通って、ここに到達して、強い光の塊となっているのだと考えられている。

 

解説②ここで神霊(siddha=シッダ)というのは、高い地位の神々ではなく、幽霊よりは上位の霊人であって、天と地の中間に住んでいると考えられている(2-38参照)。現代の一インド学者はこれをマスター(主導霊)と訳している。マスターは初めのうちは修行者の夢の中に現われて教育し、後にはその姿を現わし、自分の名を行者に告げる。さらに行者の霊性が高まると、行者は自分の必要に応じていつでもそのマスターに面会することができるし、その上、他のすべての神霊に会うこともできる、と言っている。もちろん、神霊を見られるだけでなく、それと話を交わすこともできるわけである。(2-44参照)