ヨーガ・スートラ2-34

[2-34] 殺生等の妄想には、すでに為したもの、為さしめられたもの、甘んじて承認したものなどの別があり、また貪と瞋と痴の各々を動機とする別があり、さらに、温和なもの、中位のもの、過激なものなどの別があるが、すべて、苦と無知とを際限なくもたらすものである、というのが、妄想に対抗する想念なのである。

Violent thoughts (himsa) induce unending suffering and ignorance. In such cases, it makes no difference wheher you're the perpetrator, the person who gives the orders, or the instigator; or whether the thoughts are provoked by greed, anger, or delusion; or whether small, medium or large scale action is involved. This is why orienting yourself toward the reverse is helpful. ||34||

 

<解説>案ずるに、ヨーガは動機論の立場に立つ。業、輪廻をもたらす力は、肉体を以てする動作にあるのではなくて、その行為を決意するに至る思量分別にある。そこで、この経文では、妄想の内容を詳しく分析したのである。註釈家の表現に従えば、ここでは妄想を分類して3×3×3合計27種に分類しているが、詳しくいえば温和等のうちにも三段の別が立て得られるから27×3計81種があり、さらに確信ある妄想、あやふやな妄想などの区別を立てると、殺生の妄想だけでも無数の区分ができる、という。このように数限りない種類の妄想を、その起きるたびごとに反対の思念を以て抑えてゆき、妄想の打破に成功したならば、次に述べるような霊力があらわれる。