ヨーガ・スートラ2-19

[2-19] グナの転変形態には四つの段階がある。差別あるもの、差別なきもの、還没するだけのもの、還没しないものの四つである。

Physical objects exhibit the following states: determinable; unspecific; symbolic; beyond symbols ||19||

 

<解説>①三つのグナ相互間のダイナミックな交渉の上に現実存在の転変(展開)が成り立っていることはすでに述べたが、それによって転変した現存在は四つの段階に分けられる。この四つの段階の名称の意味は後にゆずって、名称の示すものを列挙する。

1)差別あるもの***五大、十根、意

2)差別なきもの***五唯、我慢

3)還没するだけのもの***覚

4)還没しないもの***根本自性

 

<解説>②ところで、差別あるもの(visesa)というのは、いろいろな特質上の差別があるということで、五大と十根には快、不快、美、醜の差別があることを指していっている。これに反して五唯は神々や入定者にしか知られない微妙な原素であるから、五唯から成る対象には快、不快、美、醜などの特殊性を認めることができない。だから、これらは無差別という名称の下に分類される。

 

<解説>③還没するとは、自分の根元である根本自性の中へ何時かは還元、没入することをいう。あるいは、個人の人格を作る基礎と、解することもできる。覚は個人個人の人格の基礎となるが、自性には個人格の区別はない。ボージャ註は意と覚をも差別なきものの中に入れる。