ヨーガ・スートラ2-9

[2-9] 生命欲は、その固有な味わいを不断に持ち続けていて、(愚かなものばかりでなく)賢明なひとたちにもこの煩悩のあることは一般に知られている。

anxiety (abhinivesha) arises spontaneously and can even dominate your entire exsitence. ||9||

 

<解説>①この経文では、生命欲(abhinivesa=アビニヴェーシャ)の内容的説明はなくて、それが、いつでも、なんぴとにも避け難い本能的衝動であることが明らかにされている。生命欲は、われわれのいう、自己保存の本能に相当する。生命欲は自己の肉体的生命に対する愛着と、その生命の消滅である死に対する恐怖から成っている。

 

<解説>②面白いことに、インドの思想家は、この生物一般の本能を輪廻転生の思想の論証の一根拠と見なしている。生まれたばかりの虫けらでさえ死を恐れ生を求める本能をもっているのは、それまでに多くの前生においてくり返して経験した死の苦痛の潜在的記憶があるからである、というのである