ヨーガ・スートラ1-34

[1-34] あるいは、気を出す法と、それを止めておく法とによっても、心の静澄が得られる。

The goal can be attained through breathing exercises involving holding your breath before exholing. ||34||

 

<解説>①この経文はいわゆる調気法(pranayama=プラーナーヤーマ)を説いたものである。本経1-31でうたってあったように、粗い不規則な息づかいは散動心の随伴現象であるから、逆に息を調整して心の静澄を得ようとするのが調気法である。ここで気を出す法(pracchardana)というのは、恐らく、時間をはかってゆっくりとそして充分に気息(いき)を吐き出してゆくことをいみしているのであろう。それを止めておく法(vidharana)というのは、胸にみちた気息を留保しておく法、すなわち後世クムバカ(kumbhaka)とよばれる調気法をさすものと思われるが、気息を出しきった後にしばらく吸わないでいることとも見ることができる。

 

<解説>②後の解釈に従うならば、通例の調気法とは違った調気法を説いていることになる。調気については2-49以下にも説かれている規定を比較してみる必要がある。もっとも気(prana)という語は、気息(svasa)と同一ではなく、気息の中に含まれている生命の素のようなものをいみしているから、気息の出入へ直接に結びつて解釈する必要はないとも考えられる(2-49参照)。