ヨーガ・スートラ1-30

【三昧に対する障害】

[1-30] 三昧に対する障害とは、(1)病気(2)無気力(3)疑(4)放逸(5)懶惰(6)執念(7)盲見(8)三昧の境地に入り得ない心理状態(9)三昧の境地に入っても永くとどまり得ない心理状態など、すべて、心の散動状態をいうのである。

These obstacles (antaraya) (illness; inertia; doubt; neglect; sloth; desire; blindness; alack of goals; irresoluteness) obscure that which is immutable in human beings(chitta). ||30||

 

<解説>無気力(styana)は仏教用語で昏沈といい、心で強く望みながら、行動に出られないような心理状態。疑(samsaya)とは、二つの事柄のどちらをとるか決断がつかない気持、狐疑とか猶予とかいう語で表してもよい。放免(pramada)とは心に落着きがなく、ヨーガのように周到な注意を必要とすることはやれない性質。懶惰(alasya)は心もからだも重くて、なにもする気になれない心理状態、ものぐさ、ぶしょうなどという語がピッタリする。執念(avirati)とは、ものごとに対して欲望の強いことで、色情に限る必要はない。妄見(bhranti-darsana)とは真理に反する主義、主張、見解である。